プロポーザル(企画競争)とは
プロポーザルは、価格ではなく提案の中身で相手を選ぶやり方です。国では「企画競争」と呼ばれます。財務省の通知(平成18年8月25日「公共調達の適正化について」)では、企画競争を次のように説明しています。
- 複数の者に企画書等の提出を求め、その内容について審査を行う方法
- 特定の者が有利にならないよう、参加者を公募すること、選ぶときに業務の担当部局だけでなく契約の担当部局も関わること、あらかじめ具体的に定めた複数の採点項目で採点すること、などで競争性と透明性を担保する
自治体でも、「公募型プロポーザル」「企画提案競技」などの名前で、同じような募集が出ます。プロポーザルで選ばれた会社とは、多くの場合、随意契約の形で契約を結びます。
| 決め方 | 主に何で決まるか | 向いている仕事 |
|---|---|---|
| 価格の入札 | 価格 | 仕様がはっきりした仕事(印刷、物品の納入など) |
| 総合評価の入札 | 価格と技術・提案の点数 | 品質の差が出やすい仕事 |
| プロポーザル | 提案の中身(価格も評価に入ることがある) | 企画や工夫が大事な仕事 |
小さな会社が勝負しやすい理由
プロポーザルでは、地域のことをよく知っている、担当者が直接動ける、同じような仕事を丁寧にやってきた、といった強みが評価の対象になります。規模よりも「この仕事にどれだけ合っているか」を見てもらえるので、小さな会社にも選ばれる余地があります。
募集から契約までの流れ
プロポーザルの流れは、募集ごとに「実施要領」に書かれています。よくある流れは次のとおりです。
- 公告・実施要領の公開:仕様書、評価の基準、提案の上限額、日程が示されます
- 参加表明:参加したい会社が、参加の申込書や会社の資料を出します。ここで参加の条件を満たすか確かめられます
- 質問:わからない点を、決められた期間に文書で質問します。回答は参加者全員に公開されることが多くあります
- 企画提案書の提出:決められた様式・ページ数で提案書と見積書を出します
- プレゼンテーション・ヒアリング:提案の説明と質疑を行います
- 審査・特定:評価の点数が最も高い会社が「契約の相手の候補」として選ばれます
- 契約:仕様を細かく詰めて、契約を結びます
参加表明から提案書の提出までは、数週間しかないことも多くあります。実施要領が出たら、まず日程を書き出し、間に合うかどうかを先に判断します。
参加を決める前に確かめること
- 参加の条件:入札参加資格、所在地、同じような仕事の実績など、満たしていない条件がないか
- 上限額:上限額の範囲で、自社の利益が残る内容を提案できるか
- 担当者の手:提案書づくりとプレゼン、選ばれた後の仕事に、だれが時間を使えるか
- 評価の配点:自社の強み(地域の知識、専門性、実績)が点数になる項目があるか
この4つのうち、満たせないものや見通しが立たないものがあれば、無理に参加しない判断も大切です。
選ばれる提案書は「評価項目に答える」
提案書でいちばん大事なのは、実施要領にある評価項目と配点を、そのまま提案書の目次にすることです。審査する人は、評価項目ごとに点数をつけていきます。どこに何が書いてあるかがすぐわかる提案書は、それだけで読みやすく、評価もしやすくなります。
| 評価項目の例 | 提案書で書くこと |
|---|---|
| 業務の理解 | 発注者の課題を、自分の言葉で整理する。計画や過去の資料を読んだうえで書く |
| 提案の具体性 | 何を、いつ、どのくらい、誰がやるのか。数字と日程で示す |
| 実施体制 | 責任者と担当者、それぞれの役割と経験。連絡のとり方 |
| 実績 | 同じような仕事の実績。規模と、工夫した点、結果 |
| 独自の工夫 | 地域の事情に合わせた工夫、費用を抑える工夫 |
| 価格 | 上限額の範囲で、内訳がわかる見積 |
書くときのコツ
- 最初の1ページに要点をまとめる:提案の全体像を1枚で伝えると、審査する人がその後の説明を追いやすくなります
- 「できます」より「こうやります」:抽象的な意気込みではなく、手順・人・日程で書きます
- 発注者の言葉を使う:仕様書や自治体の計画にある言葉を使うと、課題を理解していることが伝わります
- 図や表で見せる:体制図やスケジュール表は、文章よりも早く伝わります
- 様式とページ数を守る:決められた様式・文字の大きさ・ページ数を守れていない提案は、評価の前に不利になることがあります
仕様を超えすぎる提案は逆効果のことも
「あれもこれもできます」と、上限額で収まらない内容や、仕様にない大がかりな提案を並べると、実現できるのか疑問を持たれることがあります。仕様の範囲で、自社の体制でやりとげられる内容に絞り、そのうえで工夫を1つか2つ加えるくらいが読みやすい提案です。
プレゼンと、選ばれなかったときの次の一手
プレゼンテーションでは、提案書を読み上げるのではなく、評価項目の中で特に伝えたい点を短く説明し、質疑に時間を残します。実際にその仕事を担当する人が説明すると、体制の説明に説得力が出ます。
選ばれなかったときは、そこで終わりにしないことが大事です。評価の結果(自社の点数や順位)を公表したり、求めに応じて説明したりする発注機関もあります。どの項目で点が伸びなかったかがわかれば、次の提案で直せます。同じ発注機関は、似た仕事を翌年も募集することがあるので、1回目の提案は次への準備にもなります。
はじめての会社は、いきなり大きなプロポーザルに挑むより、金額の小さい見積の仕事などで役所との取引の実績をつくっておくと、提案書の「実績」の欄に書けることが増えます。実績づくりの考え方は官公庁との取引実績と信用、見積から始める方法は「入札は難しそう」と感じたらで紹介しています。印刷・デザインの仕事なら印刷会社が役所の仕事を始める手順、システムの仕事ならIT・Web制作の会社が、役所のシステムの仕事を始めるにはもあわせてどうぞ。
まとめ
- プロポーザル(企画競争)は、複数の会社の企画書を審査して相手を選ぶ方法で、価格の安さだけでは決まらない
- 審査はあらかじめ決めた評価項目と配点で行われる。提案書は評価項目をそのまま目次にして、手順・人・日程で具体的に書く
- 選ばれなかったら評価の結果を確かめ、次の提案に生かす。小さな仕事での実績づくりも、提案の力になる
プロポーザルの募集は、提出までの期間が短いことが多く、早く見つけることが大切です。入札ウォッチの無料登録で、業種と地域に合う新着を週1回メールで受け取れます。