先に答え:自社の谷と、役所の募集の時期を重ねて見る
閑散期の仕事を増やすために、国や自治体の仕事を使う考え方は、次の3つにまとまります。
- 自社の閑散期を月単位ではっきりさせる:どの月に、どれだけ人や設備が空くかを書き出す
- その時期に動く役所の仕事を探す:去年の公告を見て、閑散期に作業や納品がある仕事を見つける
- 1年単位の契約で土台を作る:毎月決まった作業がある契約を持つと、谷そのものが浅くなる
役所の仕事は、民間の需要とは別のリズムで動きます。そのずれが、閑散期の悩みを持つ会社にとっては使いどころになります。
役所の仕事は「年度」で動く
国の会計年度は、財政法第11条で毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わると決まっています。自治体も、地方自治法第208条で同じく4月1日から翌年3月31日までです。予算はこの年度ごとに組まれ、仕事の発注もこのリズムに沿って行われます。
そのため、役所の仕事には、毎年くり返す次のような流れがあります。
| 時期の目安 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 年度の初め | 新しい年度の予算での発注が始まる |
| 年度の途中 | 年度内に終える委託や、物品の納入の募集が続く |
| 年度の後半 | 翌年度の4月から始まる1年単位の契約の募集が出る |
| 年度末 | 年度内に納品・完了させる仕事の締めが重なる |
ただし、これはあくまで傾向です。いつ何が出るかは、機関や仕事の種類によって大きく違います。自分の業種と地域で、実際に何月にどんな募集が出たかを確かめることが、いちばん確実な調べ方です。
ここがポイント
役所の仕事は、毎年同じ機関が、同じ時期に、同じような仕事を出すことが多くあります。去年の公告を1年分見るだけで、「この時期にこの仕事が出る」という予定表がかなりの程度つくれます。
国は「発注の平準化」を掲げている
国の「令和8年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」は、物件などの発注にあたって、予算の繰越しや国庫債務負担行為の活用、発注見通しの公表、早期の発注などの取組で平準化を図り、適正な納期・工期を設定するとしています。工事についても、国庫債務負担行為の活用や中小工事の早期の発注などで、施工時期の平準化に努めるとしています。
国庫債務負担行為は、財政法第15条で定められた仕組みで、前もって国会の議決を経て、複数の年度にまたがる債務を負うことができます。支出の年限は、原則として当該年度以降5か年度以内です。この仕組みを使うと、年度をまたいだ契約や、年度末に集中しない発注がしやすくなります。
平準化が進めば、年度末だけに仕事が集中するのではなく、年間を通して発注が出やすくなります。閑散期を埋めたい会社にとっては、これまで手を出しにくかった時期にも募集が出る可能性がある、ということです。
発注見通しを見る
基本方針は、発注見通しの公表も取組の1つに挙げています。発注見通しは、「この年度に、こういう仕事を、このころ発注する予定」という予定表です。公表しているかどうか、どこに載せているかは機関ごとに違いますが、参加したい機関のホームページの「入札・契約」のページで探してみてください。数か月先の募集の見当がつけば、閑散期にあわせて準備できます。
閑散期を埋める3つの組み合わせ方
1. 閑散期に作業がある仕事を選ぶ
役所の仕事の中には、作業の時期が決まっているものがあります。たとえば、施設の点検や清掃は、施設の利用が少ない時期にまとめて行うことがあります。調査の仕事は、決まった時期に現地で調べることがあります。印刷物は、配る時期にあわせて納期が決まります。
公告や仕様書には、履行の期間や作業の時期が書かれています。作業や納品の時期が、自社の閑散期と重なる仕事を選ぶのが、いちばんまっすぐな埋め方です。仕様書の読み方は入札の公告・仕様書の読み方にまとめています。
2. 1年単位の契約で土台を作る
清掃、警備、設備の保守、システムの保守などは、1年単位の契約として募集されることが多い仕事です。1年単位の契約は、毎月決まった作業と売上があるので、閑散期にも仕事がゼロになりません。民間の仕事に波があっても、土台が残ります。
ビルメンテの仕事の始め方は清掃・警備・設備保守の会社が、役所の仕事を始める手順で紹介しています。
3. 見積の小さな仕事で、空いた日を埋める
金額の小さい仕事は、入札ではなく見積で決まることが多く、募集から納品までの期間が短いこともあります。閑散期の空いた日に、こうした見積の仕事を入れていく使い方もできます。
| 組み合わせ方 | 向いている会社 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 閑散期に作業がある仕事 | 季節で需要が大きく動く会社 | 募集は作業の数か月前に出る。早めに探す |
| 1年単位の契約 | 毎月決まった人を出せる会社 | 年間を通して人を確保できるかを先に考える |
| 小さな見積の仕事 | 短い期間で動ける会社 | 1件の金額は小さい。数を出す手間を見込む |
募集の時期を調べる方法
閑散期にあわせて仕事を入れるには、募集が出る時期を前もって知っておく必要があります。調べ方は次のとおりです。
- 去年の公告を見る:参加したい機関のホームページで、去年の同じ時期の入札・見積の公告を確かめる。入札結果の一覧に、案件名と日付が並んでいることも多い
- 国の機関の情報を探す:調達ポータルの調達情報の検索で、国の機関の案件を探せる
- 横断して探す:官公需情報ポータルサイト(中小企業庁)で、国・独立行政法人・自治体の情報を、地域や品目で絞り込んで探せる
- 発注見通しを見る:公表している機関では、年度の発注の予定がわかる
募集は、作業や納品の数か月前に出るのがふつうです。閑散期が冬なら、秋ごろから探し始めるくらいの余裕を持つと、資格の申請や書類の準備も間に合いやすくなります。
気をつけたいこと
閑散期の穴埋めとして役所の仕事を始めるときは、次の点に気をつけてください。
- 繁忙期にも続く仕事か:1年単位の契約は、自社の繁忙期にも同じように作業があります。繁忙期に人が足りなくならないかを先に考えます
- 価格を下げすぎない:空いている人を使うからといって、赤字の価格で出すと続きません。人件費や材料費を積み上げて価格を決めます
- 資格の準備:多くの募集は、前もって入札参加資格が要ります。閑散期に間に合うよう、早めにとっておきます
売上を安定させる考え方は「売上を安定させたい」でも紹介しています。
まとめ
- 国も自治体も年度は4月1日〜翌年3月31日。役所の仕事はこのリズムで、毎年同じような時期に同じような募集が出ることが多い
- 国の基本方針は、発注見通しの公表や早期の発注などで発注の平準化を図るとしている。参加したい機関の発注見通しや去年の公告で、募集の時期を前もって調べる
- 閑散期に作業がある仕事、1年単位の契約、小さな見積を組み合わせると、売上の谷を浅くできる
閑散期にあわせて募集を探すには、早めに見つけることが大切です。入札ウォッチの無料登録で、業種と地域に合う新着の公告を週1回メールで受け取れます。