売上が安定しない会社に多い3つの形
売上が波打つ会社には、だいたい次のどれかが当てはまります。
- 取引先が少ない:上位1〜2社で売上の大半を占めていて、1社の発注が減ると大きく響く
- 季節の波が大きい:繁忙期と閑散期の差が大きく、閑散期の人件費が重い
- 単発の仕事が多い:毎月ゼロから仕事を探していて、来月の見通しが立たない
公共の仕事は、このうち特に「単発ばかり」と「取引先が少ない」を和らげる助けになります。
理由1:支払いの期限が法律で決まっている
民間の取引では、支払いが遅れたり、回収に手間取ったりすることがあります。国の契約には「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」があり、検査が終わって正しい請求を受けた日から、工事以外の仕事は原則30日以内(工事は40日以内)に支払う期限を決めることになっています。この法律は、自治体の契約にも準じて適用されます。
もちろん、検査に合格して正しく請求することが前提です。それでも、「きちんと仕事をすれば、決まった時期に入金される」という見通しは、資金繰りの大きな安心材料になります。
理由2:1年単位の契約が多い
役所の仕事は、予算が年度(4月〜翌3月)単位で組まれます。そのため、庁舎の清掃、警備、設備の保守点検、システムの保守、窓口業務の委託などは、1年間の契約として募集されることがよくあります。中には複数年の契約もあります。
1年契約が1件とれれば、その1年間は毎月の売上の一部が見えている状態になります。これが2件、3件と積み重なると、売上の「床」が上がっていきます。
年度のリズムを知っておく
年間の契約は、年度が始まる4月に向けて、前の年の冬から春にかけて募集が多く出る傾向があります。一方で、秋から冬は、年度の後半に向けた印刷物や調査、物品の募集なども出ます。自分の業種の募集がいつ多いかを1年見ておくと、準備の時期がわかります。
理由3:取引先を「分散」できる
国の省庁、都道府県、市区町村、大学、独立行政法人。発注する機関はたくさんあります。同じ業種でも、複数の機関から仕事を受ければ、1つの取引先に頼る形から抜け出しやすくなります。
国は、中小企業に仕事が回るよう、毎年「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を閣議決定し、令和7年度は中小企業・小規模事業者向けの契約の割合の目標を61%としています。また、新しく事業を始めた中小企業との契約を増やす目標も掲げています。
気をつけたいこと
良い点ばかりではありません。始める前に知っておきたい点もあります。
価格の競争になりやすい
多くの入札は、条件を満たした会社の中で一番安い価格を出した会社に決まります。無理な価格でとると、1年間赤字の仕事を続けることになります。とれる価格より、続けられる価格を先に決めておきましょう。過去の落札結果が公表されていれば、相場の目安になります。
更新のたびに入札がある
1年契約は、翌年も同じ会社に決まるとは限りません。毎年あらためて入札になることが多いので、「今年とれたから来年も安心」とは言えません。仕事の質を保ちつつ、別の機関の募集にも参加し続けることが、安定につながります。
書類と手続きに慣れが必要
資格の申請、入札書、契約書、完了の報告、請求書。民間の取引より書類の決まりが細かいことがあります。最初の1〜2件で流れを覚えれば、2件目以降はぐっと楽になります。
入金のタイミングに注意
支払いは仕事が終わって検査を受けてからです。1年契約でも、月ごと・四半期ごとなど支払いの区切りは契約によって違います。最初の入金までの人件費や材料費を立て替えられるか、契約前に確かめておきましょう。
売上の土台にするための進め方
- 自社の業種で、1年単位の契約として出やすい仕事を探す(清掃・警備・保守・委託など)
- 自社の地域で、その募集がいつ・どの機関から出ているかを1年分ためる
- 続けられる価格を決めてから参加する
- とれた仕事は丁寧にこなし、別の機関の募集にも参加して、取引先を分散する
まとめ
- 公共の仕事は、支払いの期限が法律で決まっていて、1年単位の契約も多い
- うまく積み重ねると、売上の「床」を上げ、取引先を分散できる
- ただし価格の競争と、毎年の入札には注意。続けられる価格で参加する
自分の業種と地域で「いつ・どこから」募集が出るかをつかむには、まず見続けることからです。入札ウォッチの無料登録なら、新着を週1回メールで受け取れます。