入札の基本

「入札は難しそう」と感じたら。小さな見積の仕事から始める方法

公開:2026年10月29日

少額の見積から始めて、資格をとり、見積合わせ、入札へと段を上がるイラスト

「入札って、大きな会社がやるものでしょう」「書類が多くて、うちには無理そう」。そう感じて、国や自治体の仕事を最初からあきらめていませんか。実は、役所の仕事には、金額の小さいものを見積を比べて決めるやり方もあり、はじめての会社が経験を積む入り口になります。

この記事でわかること

役所の仕事の決め方は、入札だけではない

国や自治体が仕事を頼む相手を決める方法は、大きく分けて次の3つです。

決め方どんなもの向いている会社
一般競争入札条件を満たせば誰でも参加でき、多くは一番安い価格で決まる価格に自信がある会社、規模の大きい仕事
指名競争入札役所が選んだ会社だけが参加するその役所で実績のある会社
随意契約入札をせず、見積を比べるなどして相手を決める小さな仕事から始めたい会社

このうち「随意契約」は、金額が小さい仕事などで使われる方法です。入札よりも手続きが軽いことが多く、はじめての会社が最初の実績をつくる入り口になります。

少額の随意契約とは

国の会計の決まり(予算決算及び会計令)では、予定している金額が一定より小さい仕事は、入札をせずに随意契約で相手を決めてよいことになっています。これを「少額の随意契約」と呼びます。

随意契約といっても、好きな会社に頼むわけではありません。国の決まりでは、なるべく2社以上から見積書をとることになっていて、役所は複数の会社の見積を比べて決めます。これを「見積合わせ」と呼ぶこともあります。

見積合わせの募集は「公告」の形で出ることもある

少額の仕事でも、見積を出す会社を広く募る機関が増えています。「見積依頼」「見積合わせ」「オープンカウンター」などの名前で、入札と同じように募集が公開されることがあります。

国の基準額は2025年4月に1.6〜2倍になった

国の少額の随意契約にできる金額の上限は、長いあいだ見直されていませんでしたが、物価の上昇を受けて、2025年4月1日から引き上げられました。財務省によると、主な区分は次のとおりです。

区分改正前2025年4月から
工事・製造250万円400万円
財産の買入れ(物品を買う)160万円300万円
物件の借入れ(物を借りる)80万円150万円
そのほかの契約(業務の委託など)100万円200万円
国の少額の随意契約の上限は、区分ごとに1.6〜2倍に上がった(財務省の資料をもとに作成)
国の少額の随意契約の上限は、区分ごとに1.6〜2倍に上がった(財務省の資料をもとに作成)

たとえば、国の機関が頼む業務の委託で、予定している金額が200万円以下のものは、入札ではなく見積を比べて決められる範囲に入るようになりました。小さな会社にとっては、見積で参加できる仕事の幅が広がったといえます。

自治体の基準は別

これは国の決まりです。都道府県や市区町村の基準額は、地方自治法の施行令と各自治体の規則で決まっていて、国と同じとは限りません。参加したい自治体の契約の決まりを確かめてください。

見積の仕事から始めるときの流れ

  1. 資格を確かめる:見積合わせでも、入札参加資格を持っていることを条件にする機関が多くあります。国なら全省庁統一資格、自治体ならその自治体の資格を先にとっておくと安心です
  2. 募集を見つける:各機関のホームページの「調達情報」「入札・契約」「見積依頼」などのページに出ます
  3. 仕様を読んで見積をつくる:数量、納期、納品場所、支払いの条件を確かめて見積書を出します
  4. 選ばれたら、仕様どおりに納める:検査を受けて、請求書を出します

最初の1件は「慣れること」が目的

少額の仕事は、利益よりも、役所とのやりとりや書類の流れに慣れるための1件と考えると気が楽です。2件目からは、見積も書類もずっと早く出せるようになります。

入札も、思っているほど難しくない

見積の仕事で流れに慣れたら、入札にも進めます。今は国の多くの入札が電子入札になっていて、会社にいながら参加できるものも増えています。最初は、仕様がシンプルで、自社の通常業務とほとんど同じ仕事から選ぶのがおすすめです。

まとめ

小さな見積の募集は見落としやすいものです。入札ウォッチの無料登録で、業種と地域に合う新着を週1回メールで受け取れます。

出典・参考にした公式の情報

制度や金額は記事を書いた時点のものです。実際に申し込むときは、発注機関の公告・仕様書と、上の公式の情報で確かめてください。この記事は一般的な情報で、個別の案件への参加や落札を約束するものではありません。