先に答え:用意するものは4つ
電子入札は、紙の入札書を封筒に入れて持って行く代わりに、インターネットで入札書を出す仕組みです。国の省庁も、多くの都道府県・市も取り入れています。参加までに用意するものは、次の4つです。
| 用意するもの | 中身 | どこで |
|---|---|---|
| 入札参加資格 | 国なら全省庁統一資格、自治体ならその自治体の資格 | 調達ポータル/各自治体 |
| 電子証明書 | 会社の代表者などの名義の電子証明書(ICカード形式かファイル形式) | 発注機関が対応している認証局 |
| パソコンの設定 | 推奨の環境(OS・ブラウザ)、ICカードならカードリーダとソフト | 発注機関・認証局の案内 |
| 利用者登録 | 電子入札のシステムに、自社と電子証明書を登録する | 各発注機関の電子入札システム |
順番も大事です。資格がないと入札には出られず、電子証明書がないと利用者登録ができません。資格の申請と電子証明書の申し込みは、同じ時期に並行して進めると時間の無駄がありません。資格の取り方は全省庁統一資格の取り方と自治体の入札参加資格は、いつ申請する?にまとめています。
ここがポイント
公告を探す・読むだけなら、電子証明書も利用者登録も要りません。国の調達ポータルでも「調達情報や事業者情報を探す場合は、利用者登録は不要」と案内されています。準備は、出たい入札が見えてきた段階で始めれば十分です。
国の電子入札(調達ポータル)の準備
国の省庁の物品・役務の入札は、デジタル庁などが運営する「調達ポータル」(政府電子調達・GEPS)で行います。調達ポータルの案内では、電子入札・契約までの流れが6つの段階で示されています。
- 入札参加資格(全省庁統一資格)の取得
- 電子証明書の取得
- 環境設定・利用者登録
- 調達案件の情報収集
- 入札
- 契約・請求
資格の申請から、入札、契約、請求までを同じシステムで行えるのが特徴です。
電子証明書は「代表者名義」で用意する
調達ポータルは、電子証明書で本人を確かめます。用意するのは、法人や個人事業主など、組織に所属する代表者などの名義の電子証明書です。発行できる認証局の一覧が調達ポータルに載っていて、認証局ごとに「ICカード形式」か「ファイル形式」かが違います。
気をつけたい点は次のとおりです。
- 住所が入った証明書にする:調達ポータルは、発行の申請のときに住所が証明書に入るよう、申請書に住所を書くよう案内しています
- リモート署名の証明書は使えない:調達ポータルはリモート署名形式の電子証明書に対応していないと書いています
- 商業登記に基づく電子証明書も使える:法務局の電子認証登記所が出す証明書はファイル形式です。ICカードで使いたい場合は、ファイルの作成からICカードへの格納までを代わりに行うサービスがあると案内されています
- 個人事業主はマイナンバーカードでもよい:個人事業主と、電子委任状を登録した代理人は、電子証明書を取らずにマイナンバーカードで認証できます
利用者登録は代表者から
利用者登録では、まず組織の代表者(代表取締役など)の登録が要ります。担当者に入札を任せたいときは、代表者から委任を受けた「代理人」として登録します。電子委任状を登録した代理人なら、代表者の登録なしで利用者登録ができると案内されています。
登録の操作は、調達ポータルの操作マニュアルに画面つきで載っています。わからないときは、調達ポータルの「FAQ・お問い合わせ」から問い合わせ先を確かめてください。
自治体の電子入札の準備
都道府県や市の電子入札は、それぞれの自治体のシステムで行います。多くの自治体は、ICカードとカードリーダを使う方式です。札幌市の案内を例に、準備するものを見てみます。
- 認証用のICカード(その自治体の電子入札に対応した認証局が発行するもの)
- ICカードと組み合わせて使えるカードリーダ
- ICカードの名義は、入札参加資格者名簿に登録した代表者、または契約の権限の委任を受けた受任者と同じにする
札幌市は、ICカードの入手におおむね2〜4週間程度かかるようだと案内しています。一方で、ICカードには有効期限があり、早く買いすぎると使わない期間が無駄になるとも書いています。狙う入札の時期から逆算して申し込むのが現実的です。
他の発注機関のICカードを使い回せることがある
札幌市は、国土交通省の北海道開発局や北海道の電子入札で使っているICカードとカードリーダを、そのまま使えると案内しています。すでにどこかの電子入札に参加している会社は、新しい自治体ではパソコンの設定と利用者登録だけで済むことがあります。ただし、使える認証局やパソコンの設定は自治体ごとに違うので、参加したい自治体の「電子入札の準備」のページで必ず確かめてから申し込んでください。
見積だけならICカードが要らない場合も
札幌市は、物品購入などの公開見積合せの案件だけに参加する場合、ICカードの準備は不要としています。金額の小さい見積の仕事から始める会社は、電子入札の準備を急がなくてよい場合があります。小さな見積から入る方法は「入札は難しそう」と感じたらで紹介しています。
国の少額の見積は「GビズID」で出せる
国の調達ポータルには、金額の小さい随意契約の見積を募る「オープンカウンタ(少額)」という機能があります。調達ポータルの説明では、対象は300万円未満の物品の販売や、200万円未満の役務の提供などです。
この機能では、電子証明書の代わりに「GビズIDプライム」のアカウントで見積書を出せます。GビズIDプライムは、法人の代表者か個人事業主のアカウントです。調達ポータルは、令和8年3月20日以降に公開された案件からGビズIDで見積書を出せると案内しています。補助金の申請などで、すでにGビズIDプライムを持っている会社は、新しく取る必要はありません。
| 参加したいもの | 認証に使うもの |
|---|---|
| 国の電子入札・電子契約 | 電子証明書(個人事業主などはマイナンバーカードも可) |
| 国のオープンカウンタ(少額)の見積 | GビズIDプライム |
| 自治体の電子入札 | 多くはICカード(自治体の案内で確かめる) |
対象の金額や手順は、変わることがあります。参加する前に、調達ポータルの最新の案内と、案件ごとの公示を確かめてください。
つまずきやすいところと、当日の注意
電子入札は便利ですが、紙の入札とは違うところでつまずきます。よくある例と防ぎ方をまとめます。
| つまずき | 防ぎ方 |
|---|---|
| ICカードが締切までに届かない | 資格の申請と同時に申し込む。入手までの日数を先に確かめる |
| 名義が名簿と合っていない | 名簿に登録した代表者か受任者の名義で作る。代表者が替わったら作り直しが要ることがある |
| パソコンの設定が合わず、当日に開けない | 本番の前に、練習用の画面や動作確認の手順で試しておく |
| 締切の直前に出そうとして間に合わない | 通信の不具合もあり得る。余裕をもって前日までに出す |
| 証明書の有効期限が切れていた | 期限を予定表に入れ、更新の手続きを早めにする |
電子入札でも、出す中身は紙の入札と同じです。公告と仕様書を読み、参加の条件と金額を確かめてから出します。読み方は入札の公告・仕様書の読み方にまとめています。
また、すべての案件が電子入札とは限りません。同じ発注機関でも、案件によって紙の入札や郵送の入札になることがあります。どの方法で出すかは、公告の「入札の方法」の欄に書かれています。迷ったら、発注機関の公告で確かめてください。
まとめ
- 電子入札に要るのは「入札参加資格・電子証明書・パソコンの設定・利用者登録」の4つ。資格と電子証明書は並行して準備する
- 国の調達ポータルは、代表者名義の電子証明書で利用者登録する。個人事業主はマイナンバーカードでもよい。少額のオープンカウンタはGビズIDプライムで見積書を出せる
- 自治体はICカード方式が多く、入手に数週間かかる例がある。使える認証局や設定は自治体ごとに違うので、その自治体の案内で確かめる
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