入札の基本

落札の決まり方。最低価格で決まる入札と、総合評価で決まる入札

公開:2026年11月1日

入札では「一番安い会社が取る」と思われがちです。半分は正解で、国も自治体も、法律で予定価格の範囲内で最も安い価格を出した会社を落札者にするのが原則です。ただし、予定価格を超えたら安くても落札できない、安すぎる価格は調べられる、価格と提案の中身を点数で比べる方式もある、といった決まりがあります。会計法と地方自治法をもとに、落札の決まり方を整理します。

この記事でわかること

先に答え:決まり方は大きく2つ

国や自治体の入札で、どの会社が落札するかの決まり方は、大きく分けて2つです。

方式決め方多い場面
最低価格の方式予定価格の範囲内で、いちばん安い価格を出した会社が落札物品の納入、清掃や点検などの役務、印刷など、仕様がはっきりした仕事
総合評価方式価格と、技術・提案・体制などを点数にして、いちばん有利な会社が落札工事、システムの開発、技術や工夫で差が出る仕事

どちらで決めるかは、案件ごとに公告に書かれています。公告の「落札者の決定方法」の欄を見れば、その入札がどちらかわかります。

なお、入札の形をとらず、企画書の中身で相手を選ぶ「プロポーザル(企画提案)」もあります。こちらは入札とは別の手続きなので、プロポーザルで選ばれる企画提案書のつくり方で紹介しています。

原則は「予定価格の範囲内で、最も安い価格」

国の契約は会計法、自治体の契約は地方自治法が決まりの土台です。どちらも、競争入札にしたときは、予定価格の制限の範囲内で最低(売るときは最高)の価格を出した者を、契約の相手方とすると定めています(会計法第29条の6、地方自治法第234条第3項)。

予定価格とは

予定価格は、発注する側が「この仕事にはこれだけ払う」と前もって決めておく上限の金額です。国の場合、予算決算及び会計令第79条で、仕様書や設計書などをもとに予定価格を決め、その書面を中身がわからない形にして、開札のときに開札の場所に置くと決まっています。

予定価格は、多くの場合、入札の前には公表されません(事前に公表する発注機関や案件もあります)。そのため、入札する側は、仕様書から自分で費用を積み上げて価格を決めることになります。

予定価格を超えたら、どれだけ安くても落札できない

落札できるのは「予定価格の範囲内」の入札だけです。参加した全員が予定価格を超えていたときは、落札者が出ず、もう一度入札(再度入札)をしたり、発注のやり方を見直したりすることになります。どう扱うかは、発注機関の決まりと公告で確かめてください。

安すぎる入札を除く仕組み

いちばん安い価格が落札するのが原則ですが、安すぎる価格では、仕事の品質が保てなかったり、働く人にしわ寄せがいったりするおそれがあります。そこで、法令はいくつかの例外を置いています。

国:低入札価格の調査

国では、会計法第29条の6のただし書きで、価格によっては契約の内容に合った履行がされないおそれがあるときなどに、いちばん安い会社を落札者とせず、次に安い会社を相手方にできるとしています。この扱いができる契約は、予算決算及び会計令第84条で、予定価格が1,000万円を超える工事または製造その他の請負契約と決まっています(各省各庁の長が財務大臣と協議して、1,000万円を超える金額を決めることもできます)。

流れは次のとおりです。

  1. 各省各庁の長が、「この価格を下回ると、履行に支障が出るおそれがある」という基準を作る(同令第85条。調査の基準になる価格を、一般に「調査基準価格」と呼びます)
  2. いちばん安い会社の価格がその基準に当てはまったら、契約担当官等が、きちんと履行できるかを調べる(同令第86条)
  3. 履行できないおそれがあると認めたら、契約審査委員の意見を聞いて判断する

自治体:低入札価格の調査と最低制限価格

自治体でも、地方自治法施行令第167条の10で、工事または製造その他の請負の契約について、いちばん安い価格では履行がされないおそれがあると認めるときは、その会社を落札者とせず、次の会社を落札者にできるとしています(第1項)。

さらに自治体には、最低制限価格という仕組みもあります(同条第2項)。前もって最低制限価格を決めておき、それを下回る入札は、調べるまでもなく落札者にしません。落札できるのは、予定価格の範囲内で、最低制限価格以上の価格のうち、いちばん安い入札です。

仕組み安すぎる入札の扱い主な決まり
低入札価格の調査(国)基準を下回ったら、履行できるかを調べてから判断会計法第29条の6、予決令第84条〜第86条
低入札価格の調査(自治体)履行されないおそれがあれば落札者にしない地方自治法施行令第167条の10第1項
最低制限価格(自治体)最低制限価格を下回ったら落札者にしない地方自治法施行令第167条の10第2項

これらの仕組みを、どの契約で、どの基準で使うかは、発注機関ごとの要領で決まっています。物品の購入や、工事以外の役務で使うかどうかも機関によって違います。参加する入札でどうなっているかは、発注機関の公告や要領で確かめてください。

国の「令和8年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」も、ダンピング(安すぎる受注)を防ぐことを措置の1つに挙げています。安く出せば取れるとは限らないので、人件費や材料費を積み上げた、赤字にならない価格で出すのが基本です。

総合評価方式:価格と中身を点数で比べる

総合評価方式は、価格だけでなく、技術や提案、体制などの「価格以外の条件」も合わせて、発注する側にとっていちばん有利な会社を落札者にする方式です。

自治体の総合評価は、基準が前もって公告される

自治体が総合評価一般競争入札をするときは、前もって「落札者決定基準」を定め、学識経験者の意見を聞くことになっています(同条第3項・第4項)。そして公告では、総合評価の方法で決めることと、その落札者決定基準を示すことになっています(同条第6項)。

つまり、何に何点がつくかは、入札の前に公告でわかるということです。総合評価の入札に出るときは、まず評価の項目と配点を読み、自社が点を取れる項目と、取れない項目を確かめます。

公告で見るところ確かめること
評価の項目技術提案、実績、配置する人の資格、地域への貢献など、何が評価されるか
配点価格と価格以外の点の比べ方、項目ごとの点数
求める書類技術提案書や実績を示す書類の様式と提出期限
計算の方法価格と点数をどう組み合わせて順位をつけるか

点数の計算方法は、発注機関や案件ごとに違います。わからないところは、質問の受付期間に発注機関へ問い合わせてください。

中小企業は、どちらから始めるとよいか

はじめての会社には、仕様がはっきりした最低価格の方式の入札や、金額の小さい見積から入るのが取り組みやすい道です。費用を積み上げて価格を出す練習になり、結果を見て次の価格の目安にもできます。

総合評価方式は、価格で大手と同じ勝負をしなくても、技術や工夫、地元での対応力などで点を取れる可能性がある方式です。国の令和8年度の基本方針も、創意工夫による価値を適切に評価することが適当と認められる場合には、総合評価落札方式を積極的に活用するとしています。

どちらの方式でも、落ちたときは理由を振り返ることが次につながります。見直し方は入札で落ちる理由は5つにまとめています。

まとめ

出られそうな入札を見逃さないために、入札ウォッチの無料登録で、業種と地域に合う新着の公告を週1回メールで受け取れます。

出典・参考にした公式の情報

制度や金額は記事を書いた時点のものです。実際に申し込むときは、発注機関の公告・仕様書と、上の公式の情報で確かめてください。この記事は一般的な情報で、個別の案件への参加や落札を約束するものではありません。